犬・猫の歯について

●乳歯と永久歯
【犬】
・乳歯:生後3週目頃から生え始め、6週~12週目で生え揃います。
・永久歯:4・5ヵ月齢~7・8ヵ月齢までに生えかわります。

【猫】
・乳歯:生後2週目頃から生え始め、4週目ぐらいまでに生え揃います。
・永久歯:3ヵ月齢~6ヵ月齢ぐらいまでに生えかわります。

 

乳歯遺残

乳歯が残ったまま永久歯が生えてくる状態です。
乳歯が残っていると、永久歯と重なってしまうことで歯並びが悪くなり、食餌のカスが溜まりやすくなります。そこに歯石がつきやすくなり、歯肉に炎症がおこります。
ひどくなると痛みによりご飯を食べなくなることや、歯肉が痩せて若いうちに歯が抜け落ちてしまうこともあります。また、感染を起こし顎の骨や鼻にまで悪影響を及ぼすことがあります。
そのため、生後10ヵ月になっても乳歯が残っているようであれば、そこから乳歯が抜ける見込みは低いので、早めに全身麻酔下での処置が必要となります。
避妊・去勢手術を考えている場合は同時に行うのも良いでしょう。


乳歯.png


 

歯周病

歯と歯肉の間にできた歯垢・歯石の中に歯周病菌が増え、歯周病になります。
そして歯石になるのが、人間の約5倍のスピードと言われており、24時間で歯垢が付着し、2~3日で歯石となります。
歯石になってしまうと、ハミガキでは落とすことができません。

歯石.png

3歳以上の成犬・成猫の80%が歯周病にかかっていると言われています。
歯垢、歯石が付着すると、歯肉が腫れ、口臭がでます(歯肉炎)。
歯肉炎が悪化すると、歯の周りの組織にも炎症が及び、痛みが伴います(歯周炎)。
歯が歯石に覆われ、より悪化すると、目の下が腫れたり、慢性の鼻汁がでることもあります。
また、歯肉から出血し、歯が抜けたり、顎の骨が折れたり、さらには、歯周病菌が血流を介して、心臓・腎臓・肝臓などの全身の臓器に悪影響を及ぼす恐れがあります。

犬、猫は、虫歯より歯周病になりやすく、歯石になる前に歯垢を取り除くことで歯周病を予防できます。そのため、お家での日常的なデンタルケアがとても大切です。

 

歯科検診へ行ってみよう!

一度動物病院で歯科検診を受けてみましょう!

●歯石がすでについてしまっている場合
歯石が付着し、歯肉炎等ある状態でハミガキをする場合、痛みにより、ハミガキを嫌いになったり、出血してしまう可能性があります。
そして、ハミガキでは歯石はとれないため、全身麻酔下での超音波スケーラーによる歯石除去をおすすめします。

★無麻酔でのスケーリングは何故いけないの?
全身麻酔による処置は、麻酔のリスクやコストがかかります。
しかし、無麻酔でスケーリングを行うと…
・エナメル質が傷つき、より歯垢のつきやすい歯になってしまう
・歯肉や舌、口腔粘膜を傷つける恐れがある
・動物に恐怖や痛みを与える(トラウマ)
・トラウマが原因となり、口を触れなくなる
…などのデメリットがあるので、無麻酔でのスケーリングはおすすめしません。

※麻酔処置を実施する場合は、必ず術前検査を行い全身状態を把握した上で行います

●歯石がまだ付着していない場合
獣医師の診察により、麻酔下での処置が必要ないと診断された場合、お家でのデンタルケアを始めましょう!

*歯垢・歯石の付着の有無に関係なく、まず、獣医師や看護師にご相談ください。