犬の皮膚肥満細胞腫

●はじめに

犬の皮膚における悪性腫瘍では最も発生率が高く、病院でもしばしば遭遇する腫瘍です。
体幹、四肢、頭頸部などのあらゆる場所に発生し、ご家族の方がしこりや皮膚の赤みを発見して来院するケースが多いです。

肥満細胞は太っていることの肥満とは関係がなく、免疫や炎症反応などの生体防御に重要な働きを持つ細胞で、体のあらゆる場所に存在します。
肥満細胞は顆粒を多く含んでいることが特徴で、その顆粒にはヒスタミンなどの物質が含まれており、これらが過剰に放出されると皮膚の炎症や胃腸障害を引き起こします。
その細胞ががん化したものが肥満細胞腫であり、悪性腫瘍に位置付けられます。

進行すると近くのリンパ節へ転移し、やがて肝臓、脾臓、骨髄などに遠隔転移してしまい、根治が困難となります。