猫の乳腺腫瘍

⚫はじめに

猫の乳腺腫瘍も犬と同様に性ホルモンの暴露が関与しているといわれ、乳腺腫瘍が発生した子の99%は避妊していない雌です。よって早期の避妊手術によって発生率が低くなります(6カ月齢以前に行うと9%に下がります)。

猫の乳頭は基本的に4対で合計8個あり、その周囲や乳腺に沿って発生します。
腹部にできたしこりを見つけたり、皮膚からの出血を発見して来院するケースが一般的です。
しこりの場所、大きさ、数などを確認してから細胞診検査を行い、そのしこりが乳腺腫瘍なのか、他の種類の腫瘍を疑うのか、腫瘍以外を疑うのかを調べます。
※細胞診検査はしこりに細い針を刺して採取された細胞を顕微鏡で確認するもので、麻酔は必要なく負担もとても軽い検査です。

 

⚫良性か悪性か

発生した乳腺腫瘍が良性か悪性かを判断するには最終的には外科切除をして病理組織診断をする必要があります。
猫の場合、乳腺腫瘍の80〜90%が悪性であり、初診時の時点で高確率に肺やリンパ節に転移していると報告されています。
よって手術を行う前の段階で肺などに転移が認められる場合は手術不適応となることがあります。
手術によって腫瘍を摘出しても、その後の再発率や転移率は非常に高く、完治は難しいとされます。
よって以下の治療に関しては、腫瘍の状況、転移の状況、全身状態、ご家族の意向を統合して決めることになります。

 

●手術

上記の通り猫の乳腺腫瘍はほとんどが悪性であることが分かっているため、両側全乳腺切除のような広範囲の乳腺切除が推奨されます。
その他に腫瘍部だけを切除する部分切除や、片側の乳腺を切除する片側全乳腺切除があります。
現時点でこれらの術式の違いによる明らかな予後の違いはありませんが、再発率の低下を目的に広範囲に切除するのが一般的です。
また卵巣子宮摘出を行っていない子は、再発を低下させる目的で同時に摘出することが多いです。

 

⚫️術後

病理組織検査において悪性であった場合、その後全身治療が必要になることがあります(化学療法、放射線など)。メリット・デメリットをご説明した上でどのような治療を行うかを決めていきます。


猫の乳腺腫瘍は悪性であることがほとんどですが、早期の治療で長期の生存期間を得られる子もいますので、なるべく早期の治療を推奨します。
お困りのことがあればお早めにご相談ください。