犬の乳腺腫瘍

⚫はじめに

乳腺腫瘍は雌犬で最もよく発生する腫瘍で、病院でもよく遭遇します。
乳腺付近にしこりができ、ご家族の方がそれを発見して診察にいらっしゃる場合が多いです。
乳腺腫瘍は性ホルモンが関与していることが分かっており、性ホルモンの暴露が長いほど発生率が高くなります。よって避妊手術を早期に行うと乳腺腫瘍の発生率が下がります(初回発情前に避妊すると発生率は0.5%と非常に低くなります)。

しこりの場所、大きさ、数などを確認してから細胞診検査を行い、そのしこりが乳腺腫瘍なのか、他の種類の腫瘍を疑うのか、腫瘍以外を疑うのかを調べます。
※細胞診検査はしこりに細い針を刺して採取された細胞を顕微鏡で確認するもので、麻酔は必要なく負担はとても軽い検査です。

 

⚫良性か悪性か

発生した乳腺腫瘍が良性か悪性かを判断するには切除をして病理組織検査をする必要があります。
ただし、手術前の段階でも、そのしこりの大きさ、成長速度、皮膚の状態、細胞診検査を行うことで悪性度を仮判定します。
犬の場合、乳腺腫瘍の約50%が良性、約50%が悪性と言われております。
大きさが増すと悪性度が高くなる事が分かっているので、いずれにしても早期切除が推奨されます。
ただし、手術を行う前の段階で肺や肝臓等に転移が認められる場合、または炎症性乳癌が強く疑われる場合では手術不適応となることがあります。

 

⚫手術法

乳腺腫瘍を切除する際には、乳腺付近のリンパ管の流れに注意します。
犬の場合第1〜3乳頭は腋窩リンパ節へ、第4〜5乳頭は浅鼠径リンパ節へとリンパ管が続いています。さらに第3と第4乳頭の間にリンパ管が連結していることが多いです。
 例えば右側第4乳頭付近に乳腺腫瘍ができた場合は、基本的には第3〜5乳頭を切除します。また右側第3と第4乳頭付近に同時にできた場合は右側の乳腺を全て切除します。このように乳腺腫瘍が発生した場所や数によって切除する範囲が変わります。ただし腫瘍の大きさ、皮膚の状態、本人の全身状態によっても切除の仕方は変わってくるので、よくご相談した上で切除範囲を決定します。
また卵巣子宮摘出を行っていない子は、再発を低下させる目的で同時に摘出することが多いです。

 

⚫️術後

病理組織検査において悪性であった場合、その後全身治療が必要になることがあります。メリット・デメリットをご説明した上でどのような治療を行うかを決めていきます。

乳腺腫瘍に限ったことではありませんが、より早期の治療を推奨します。
お困りなことがあればお早めにご相談ください。